ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…
思わぬ憂臣の告白…
そして、ずっと憎んでいた相手が 今目の前にいる…
私と付き合っている憂臣。
私はどうするべきか…
事故で亡くなったのは私の恋人である綾己だと打ち明けるべきか…
私は言わなかった。
綾己との恋は友達でさえ知らない…
私と綾己と、二人だけの秘密。
憂臣には言わない。
それでいい…
大切な綾己の名前を 憂臣に言いたくない。
「 帰らない?」
「 え… ああ… あのさ、その… 抱きしめていい?」
「 それって聞くもの?」
「 だよな、じゃあ 遠慮なく 」
憂臣の手が私の手から離れて、腕が私を包み込もうとしていた。
震える気持ちを押さえ、憂臣の腕を受け入れる。
「 案外、華奢なんだな… 」
私は目を閉じて 今を、今この瞬間から逃避したいと思った。
私に触れるのは綾己だけ…
今は、悪夢への始まり…
誰に聞けば教えてくれる?
私の頭がおかしくて、綾己の仇相手に抱きしめられる私を どうかしてるって…
誰が教えてくれるの?