ブラックドレスに甘い毒牙を隠して…

思わぬ憂臣の告白…

そして、ずっと憎んでいた相手が 今目の前にいる…

私と付き合っている憂臣。


私はどうするべきか…


事故で亡くなったのは私の恋人である綾己だと打ち明けるべきか…

私は言わなかった。

綾己との恋は友達でさえ知らない…

私と綾己と、二人だけの秘密。

憂臣には言わない。


それでいい…

大切な綾己の名前を 憂臣に言いたくない。




「 帰らない?」

「 え… ああ… あのさ、その… 抱きしめていい?」

「 それって聞くもの?」

「 だよな、じゃあ 遠慮なく 」




憂臣の手が私の手から離れて、腕が私を包み込もうとしていた。

震える気持ちを押さえ、憂臣の腕を受け入れる。




「 案外、華奢なんだな… 」



私は目を閉じて 今を、今この瞬間から逃避したいと思った。

私に触れるのは綾己だけ…

今は、悪夢への始まり…

誰に聞けば教えてくれる?

私の頭がおかしくて、綾己の仇相手に抱きしめられる私を どうかしてるって…


誰が教えてくれるの?


< 9 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop