欲しいものがある。
「それで?ミスコンに出るからなんだ?それで男にちやほやされたいっていう魂胆なら、このプリントはやってこい。成績のびるぞ」
「……」
「もしかして、そういう狙いでミスコンとやらにでるのか?」
「ち、違います!ほら、えっと……」
(落ち着け、落ち着くのよ古川彩!)
完全に萎縮しきった私は、言い訳も見つからず、途方にくれた。
(ミスコンに出るのは真っ赤な嘘なんだけど、本当に来られるとなるとやっぱり嫌だぁ……っ)
「分かった、彩のその薄っぺらい嘘に騙されてやる。ただし、俺はその学園祭に来るからな」
嘘ってミスコンの事だろうか?
疑念だ。
とにもかくにも、このプリントの山はどうにかなりそう。
(くくっ、彩がミスコンなんてあり得るわけねぇよ。俺が出すとでも思って……ねぇよな……)
「え、来るんかい」
(しまった!心の声が!)
「あ?」
「すいませんすいません」
威圧的な眼、やめてもらえませんか!
(いや、本当に来るなんて……)
はあ、と本日二度目のため息をこぼすと、桜庭先生はさらに私に追い討ちをかけた。
「とりあえず、彩の本当の魂胆はこのプリントの山を退かすこと。だったら、この二時間で三分の一を終わらせろ」
「お、オニっ!!」