きらきら

パソコン画面の中でリアルに☆るいーず☆が目の前に存在し、みんなが見つめて笑ってる。
違う……笑わないで……彼女は笑われる存在じゃない。バカじゃなくてキラキラ輝いてる女の子なんだから、みんなが憧れる存在なんだから……目の前で笑わないで。お願いだから笑わないで。声に出せない叫び声が身体の中でショートする。

「しょーもない発言ばっかりだな。何が楽しんだろ」
「若い堀田君でもそう思う?」
「お嬢様って気はしないけど。バカなイタい子?」

みんなの笑い声が頭の中に響き爆発しそうだ。いっそ爆発して欲しい。このまま地球が終わっても構わない。笑い声が沸々と小さな泡の毒素のように身体中に回り苦しさが止まらない。否定しなきゃいけない、みんな誤解している。

「でも……人気ありますよ。フォロワー数も多いし……憧れてる人が多くて好かれてます」
震えながら自分から出た声は機械のようだった。そんな不自然な声を無視して堀田君は大笑いする。

「ないない。興味本位でフォローする奴ばかりじゃない?」そう言って私の顔色を見て声を変えた。

「どうした?調子悪い?風邪ひいた?顔色悪……」
「でも人気あってみんなに好かれてるんだよ!」
堀田君のいたわる声を遮って、私は事務所で大きな声を出してみんなに驚かれた。

一瞬の静寂の後。いつも大人しく地味な私が初めて大きな声を出し、ボロボロと涙を流して「彼女は好かれてる」って叫んで更衣室に逃げ込んだ。そしてもっと泣く。いっぱい泣く。自分のロッカーを手のひらで強く叩いて顔を覆いまた座り込む。八つ当たりしたロッカーは冷たく私の背に当たり、痺れた右手がみじめだった。

『パパのブラックカードでお買い物』『彼がロンドンで寂しい。仕方ないから合コン行こう』『お金がないって意味がわからない』『可愛いって言われるより綺麗って言われたいのに』『ファーストフードって面白いね。キョロキョロしちゃう』『女子会も大好きだよ』『努力って言葉は嫌い。普通でこんなに幸せだもん』

『ただの黒いカードだろww』『合コン行くのかよ』『バカだから仕方ないよー』『そのまんまブスって言ってやるww』『挙動不審』『え?友達いるの?』『うらやましい脳』

ブロック!ブロック!ブロック!ブロック!

手のひらからこぼれるのは私の涙と惨めな心。嗚咽を上げながら頭をロッカーにぶつけて顔を上げると小さな窓から射す光がキラキラと舞い上がるホコリを浮かびあがせる。私が暴れてホコリが舞った。




キラキラしている。










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