きらきら
黙ってホコリを見ていたら静かに細くドアが開き、狭い隙間から大きな井上さんの身体が見えた。
「みっちゃんごめんね」
もじもじと白いぷっくらした両手を重ね、首をすくめた姿は可愛らしく微笑ましかった。
「みっちゃんはあのルシールちゃんのファンだったのね、ごめんね。好きな人をけなされたら嫌だよね。ごめんね」井上さんが小さくなって謝ってる。謝るのは私の方なのに。
「違うんです私が悪いんです。すいません」
私は涙を両手で拭いて立ち上がって頭を下げようと思ったけど「いいのいいの。しばらく休んでなさい。落ち着いたら出ておいで」って逃げるように井上さんは扉を閉めて行ってしまう。
迷惑かけた。
妙な罪悪感でいっぱいになったまま、まだその場に座っていると今度は堀田君が入って来た。
「どーしたの?」
不機嫌な声を出して堀田君は私に近寄る。いつも彼は堂々としていた。そう、昔から……。
「何でもない」不機嫌はウィルスのように移る。
「……クラス会の出欠ハガキが届いてなかった」ボソリと言われて家にあるハガキを思い出す。
「出してないもん」
「出ろよ」
「私が出たって出なくたって同じだよ。私は堀田君と正反対で存在感なかったし行っても『誰?』とか言われる」
「言わねーし」
「言われる」
「お前、自意識過剰すぎ!」
強く厳しく堀田君は真面目に怒って私に言い、私は心を殴られ驚きビクリと身体を動かした。
キラキラがまだ舞っている。