秘密 ~ホテル・ストーリー~
「結構、形になったね」
「昼もろくに食べずに頑張ったからな」
「うん」
「これだけやっとけば、明日まで何もしなくていいな」
「うん」
「だから、連れてってやるよ。イルミネーション」

「本当?いいの?」ぱあっと明るくなる彼女の顔を見て、自分も満たされていく。もうごまかしようがなかった。亮平は、そのぽてっとした形のいい唇にキスしたくて仕方がなかった。

「やっぱり東京駅かな。六本木かな」

「早く行き先決めろ。乗り換えしなきゃいけないだろ?」
そんなに遠くまで行ったら、帰ってこられないぞ。9時に帰らなきゃいけないんだろ?

「近くでいいか。丸の内シャンパンゴールドに輝くイルミネーションだって」
携帯の画面を見ながらつぶやく。

「何食べたいんだよ」
「ねえ、中田君ってそうやていつも無愛想に彼女に言うの?」
「悪かったな」
「もったいないなあと思って。本当は優しくていい人なのに」
「そうかよ」
「だって、中田君と付き合いたいっていう子たくさんいて、今回の出張で結構うらやましがられちゃった」
「冗談だろ」
「本当だって。何なら帰ってからセッティングしようか?」
「止めろ」
未希が、無意識に亮平の腕を引っ張る。はぐれたら帰れないと言って未希が付いてくる。亮平は、わざと未希にそうさせたくて、早足で歩く。
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