秘密 ~ホテル・ストーリー~
食事をして、丸の内のライトアップを堪能した。
普通のカップルのデートみたいに。

電車に乗る頃には、未希は、手を離して隣の席に座って時間を気にしている。
大丈夫だって。ちゃんと時間内に着けるから。

駅について、ホテルのロビーに入ったところで電話が鳴りだした。

「はい」未希が亮平のことなんか忘れて、その場で話し始める。

「いつ?分からない?まだ、接待終わってないの?分かった。ホテルで待ってる。気にしないで」フロントで鍵を受け取って、落胆と不安で泣きそうな顔になってる。

「まだ、早いからラウンジで飲むか?」
「うん」
「おごってやるよ。がんばったからな」
「うん」

眺めのいい景色に、少し気が紛れたのかじっと景色を見てる。

「何にする?」
「同じの」
「えっと。おれウィスキーのロックだけど?」
「私も、その丸い氷がいい」
「あのねえ。飲みたいなら別にいいけど」
「だって、未希はフルーツの乗ったお子様のにしろって言ううじゃない」
「お子様だから仕方ないだろ」

「お子様なんかじゃないよ」
そんなことわかってる。亮平が知らないうちに、いつの間にか意識してしまうほど大人になってること。

そう思った矢先に、未希の体がぐらっと傾いて倒れて来た。

「おい、お前何やってんの?」

「岩井さん……」

「ほら、部屋戻るぞ。立てるか?」まったく返事がない。
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