訪問者数1万人突破記念!②短編小説「恋愛リアリスト」
そもそもなんていうのか、エロスが溢れてるんだよね。

このホストみたいな優男のベールの影からちらついて見える

大人のエロス

ほのかに煙草の香りもする。

「ね、俺と付き合ってよ。」

思案していた私の頭上で、入井和が囁いた。

「は?」

「は、じゃなくて、俺と付き合ってくれない?」

入井和は微笑むと、私の肩に手をおいた。

何言ってんだ、こいつ!

「・・・」

思わず無言になる。

ああ、からかってるんだな、って思った。

資料室なんかで男とキスすることになるなんて・・・

「ねぇ。」

私は、棚から本来の目的であった資料の入ったファイルをいくつか手にとって入井和の胸に突きつけた。

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