聖なる夜の願い ~ホテル・ストーリー~
フロントに寄って、ホテルの人に花束のお礼のメッセージを頼んだ。

すぐに部屋に帰る気がしなくて、夜気に当たろうと外に出た。
寒い。信じられないことにコート忘れて来た。
ものの5分と耐えられず、中に入る。どうしようかと思ってたら、声をかけられた。
「あら、昼間のお嬢さんね!」
食事を譲った老夫婦だった。

「今夜は本当にありがとうございました」
と、二人は一緒に頭を下げた。
「いいえ、大したことありませんから」
「せっかくの夜なのに、一人でどうしたんだ?」旦那さんの方が聞いてきた。

部屋であった事情を話すと、
「よかったら、私達の部屋に来ない?」奥さんの方に言われた。

「でも……」知らない人について行くのは気が引ける
「ずっとロビーで話してる訳には行かないでしょ。それに、彼にも少し心配させましょう」
「それがいいよ」

奥さんの方が、旦那さんにいう。
「ほら、花束なんて紛らわしい物プレゼントするから、こんなことになっちゃったじゃないの」
「そうかね。男にはそのくらい余裕は欲しいものだけどね」
「電話を持ってるみたいだし。彼も気になるんだったら、連絡してくるでしょう」
「でも……」
「こういうときほど、相手があなたの事どう思ってるか分かるものよ」
奥さんの方が、笑って背中を押した

一時間経っても、彼は、何も言って来ない。
「見込み、うすだな」そういって、奥さんに怒られた。

「ありがとうございました。私、そろそろ帰ります」
「何かあったら、いつでも電話ちょうだいね」
「はい」
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