7年越しのふたりの約束
 あと、10分で約束の日が終わる。

 本当なら今頃、二人でシャンパン片手にオードブル食べて、部屋にあるクリスマスツリーの前で写真と撮る。

 オーシャンビューのイルミネーションを二人で見ながらお風呂で温まり、その後は、バラを散らされたベットで、久しぶりに愛し合う、そんな妄想をしていた自分に呆れてしまう。

 信じきれないといいながら、しっかりと二人の未来を想像してるなんて。

 紗羽は、スマホを取り出し、二人で決めたオプションの写真を撮っていく。

 1つ1つ写真に収め、その写真を確認しながら、画面に落ちてくる"もの"にはっとした。

 あんなに我慢していたのに、大粒の涙が次から次から溢れてくる。

 力なく座り込み、声を殺しながら涙を流していると、紗羽のスマホの電源が落ちる音か聞こえた。

 どれくらいそうしていただろうか。

 ふと、時計を見るともうすぐで0時になるとこだった。

 紗羽は、コートを羽織り、涙を拭い、立ち上がりながら身なりを整え、出口に向かう。

 ここに来る時に、0時ちょうどに部屋を出ようと決めていた。

 シンデレラタイム。

 シンデレラの魔法が溶けるように、紗羽の7年間も思い出にしてしまうつもりだ。

 扉を開けると、下を向いていた紗羽は大きな箱にぶつかった。

 
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