【完】『傷跡』
ディナーを終えたリマと多聞は部屋へ通されると、二人で窓際へ歩を進めた。
眼下には雫でキラキラと輝く夜景が広がっており、その中を模型のように小さな電車が走ってゆく。
「…あのね、多聞にさ」
「どないしたん?」
「言わなきゃならないことがあるの」
「…もしかしてお腹に、子でもとまったんか?」
「違うの」
リマはしばらく黙った。
が。
肚を据えたのかきりっとした顔つきになって、
「あのね、今まで黙ってたんだけどね」
とリマが差し出したのは、一枚の書類である。
「これ、私が前に所属してた事務所のプロフィールなんだ」
多聞は手にとった。
しばし眺めた。
「事務所におったってのは知らんかったなぁ」
言いながら、目が止まった。