【完】『傷跡』
というのも。
リマはキャバクラ嬢、いわゆる夜の蝶で、多聞はそこへ客として来たのが最初である。
が。
多聞はバイクに乗って移動するので、当たり前ながら酒は飲まない。
はじめはリマは、
「あのお客さん、あんまりお金落とさないんだよね」
と好きな客ではなかった。
しかし。
馴染んでゆくうち、リマの話をじっと真剣に聞き入る姿に、いつしかリマは心を許していた。
酔客に尻を触られた話をしたときには、
「誰や、俺がしばいたるから連れてきーや」
と席を立とうとしてリマが止めたほどである。
それまで。
それほどまでにリマに向き合ってくれる客がいなかったのもあって、やがてリマは多聞に心を許し、いつの間にか身体も許していた。