【完】『傷跡』

そのようにして。

リマと多聞は仕事の合間を縫いながら、逢って互いに気持ちを深めてきた。

それだけに。

多聞があの、クリスマスのアポが取れないので有名なバロンスタンリーホテルを予約してきてくれたのは無性に嬉しかったようで、

「あんなにああいう高級なとこ苦手な多聞なのに、よく押さえられたね」

「ま、金はないけどコネはあったからなー」

どうやらコネを使ったらしかったが、あまり詳しくは言わなかった。



当日。

横浜は昼過ぎから小雨で、寒々としていた。

「お待たせ」

とリマはディナーにふさわしいものをと選んだ、赤を基調としたファッションに白いコートを羽織っていた。

いっぽう。

多聞はヘリンボーンのスーツとベストにツイードのジャケットという、ちょっとイングリッシュにまとめた服をまとっている。



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