悪役の私
「俺、彼女に必要とされてるかわからなくなる時があるんだ。」
出しっぱなしの鍋を一緒に洗いながらの恋愛相談会も、初めての集まりの時から変わらない。
「どーしてそう思うの??」
「大学でさ、お昼一緒に食べよって言ってたのに、友達と食べるからやっぱりやめよとかいきなり言われるし…」
「うーん、そうかぁ。」
「チュウした時も、なんかそっけないかんじがして…。…俺が女々しいのかな。」
相談の内容はお互いにいつも大体同じだ。
「私は好きなひとを優先しちゃうからわからないけど…でもそれは少し寂しいね…。」
こんなにも思われる彼女が羨ましくもあるくらいなんだけどなぁ。
「なんか情けないなと思うよ。俺、ぐいぐいいけないし」
「でも私は逆に求められすぎて身体だけなんじゃないかって心配になっちゃうよ。旅行の計画とか全部、結衣の行きたいところでって言って考えてくれないし…」
「お互い悩み尽きないね」
「このままでいいのかなって、思うよね。」