悪役の私





その後もしばらく話をして、優は眠ってしまったみたいだ。




私も寝ようと布団の中にすっぽりと体をうずめる。


ふと、隣で眠る優の手が微かに私の手に触れた。




…少し前、彼女とのデートの帰り際電車に乗る直前、頰にキスされたってことを嬉しそうに話していたことを思い出した。




きっと彼女はちゃんと優のこと好きなんだろうな。


でも、なんでかすれ違ってしまう。



どうして恋愛っていうのはお互いが同じ気持ちになることが出来ないんだろう。





優の話を、自分にも重ねてしまう。





お互いの気持ちが同じであれば、悩む必要なんてないのに。










< 5 / 181 >

この作品をシェア

pagetop