悪役の私
「出来た…っ」
優と2人で作ったデザイン。
我ながらとてもいい仕上がりだ。
「よければ記念写真撮りませんか?」
店員さんが声をかけてくれたけど、私達は少しだけ躊躇した。
写真に残すなんていいのかな…。
だけど、残したい。
思い出を思い出だけじゃなくて、できるだけ形に残したい。
「お願いしますっ…!」
優が断ってしまう前に、私はそう答えた。
「では撮りますねー」
自然と少し離れて笑顔を作る私達。
「カップルさん、すいません、もう少し近づいてくださーい」
店員さんの呼びかけに少しドキッとする。
少し笑って近づく私達。
「初々しいですね〜!」
と言って、出てきた写真を渡してくれた店員さん。
…恋人同士ではないんです。
ごめんなさい。
だけど、無条件にカップルという言葉に反応して喜んでしまうよ。
ここなら誰も何も知らない。
何も気にしなくていい。
堂々と一緒にいることができる。
ずっとこのまま、ここに優といれるなら
どれだけ幸せだろう。