もう一度出会えたら
もう帰ってしまう…繋がれた手も離さなきゃいけない。


そう思いながら彼の視線の先を追うように視線を落としたけど、


曖昧でよく分からない今の感情を彼に悟られたくなくて直ぐに顔を上げた。


“帰らなくてもいいのに…”なんてそんな言葉は言えない。


「送ってくれて今日はありがとう…」


彼の顔を見て笑顔でそう言うと、彼も私を見た。


彼のその表情からは何も読み取れない。


手を離そうとするのに彼はまだ離してくれなくて…


手と一緒に私の心臓まで鷲掴みされたかのように心臓がギュンとなった。


ほんの少しの期待と、今にも手を離されるという寂しさが私の中で入り混じる。


『……じゃあ、帰りますね』


そう言った時、僅かに指先に彼の力が伝わってきたのを感じた。


手を離して、バイバイってしなきゃいけないのに……


キュッと彼の手を握ったまま離せなかった…。
< 116 / 221 >

この作品をシェア

pagetop