もう一度出会えたら
「…沙羅が昔言ってくれたよね。私は好きになると自分の気持ちに素直だって。確かに今までの私はそうだったけど、今回色々あったから誰かを好きになってあんな風に傷つきたくないって思ってしまう自分もいて正直怖い。彼とは過去も含めて色々あったし、体だけの関係になって都合のいい女にはなれても彼に好きになってもらえるとは思えない…だから彼への気持ちに必死にブレーキをかけてるのかもしれない。」


沙羅は黙って私の話をきいてくれていた。


『菜々、以前に私が言った事覚えてる?彼はモテるけどって言う話ね。
今は会えないから菜々の不安な気持ちも分かるけど、彼が帰ってくるまでは結論を出すのは早いんじゃないかなあって思う。彼って確かに言葉が少なくて分かりにくいけど、その分態度に出てるんじゃないかな?私の目から見ると菜々といる時の彼かって雰囲気が柔らかくなるって言うかうまく言えないんだけど…違うんだよ。菜々を見る目がねっ。』


正直、彼の態度で期待をしてしまう私もいた。


だけど期待して違っていた時の事を考えると怖くて…。あんな思いはもうたくさんだから。


「あの夜の事は、後悔はしてないの。たとえ体だけだとしても満たされたいって思ったのは確かだから。でも今は彼と会えないまま数週間過ぎて考える時間だけはたくさんあって今ならまだ引き返せるって思う気持ちもある。実際に彼からも何もないし今の状況はかなりきつくて」


沙羅はまだ何か言いたそうにしていたけれど最後には


『そっか…涼くんも早く帰って来られるといいのにね。私も菜々が傷つくのは嫌だから、菜々が後悔しないようにすればいいと思う。だけど辛い時は1人で悩まないでよ。力になれる事はするし、話だっていつでも聞くから。』


そう言ってくれた。


「うん、いつも頼ってるよ。ありがとう沙羅…。」


恋愛って難しい。タイミングが少しずれるだけで変わる未来もあるから。


だけど、この気持ちの行方がどうなるのかは今はまだ自分でも分からない…。


少し神妙な顔つきになっていた沙羅が雰囲気を変えるように明るく聞いてきた。
< 146 / 221 >

この作品をシェア

pagetop