もう一度出会えたら
『菜々さんがどうしたいか教えてくれたら僕の気持ちも教えます。』


彼には私が何を望んでいるかはもう分かりきっているはずなのに


『言わないなら、このままやめる…?』


ほら、また….。彼は私をどこまで苛めるのだろう?私をからかってる?


少しだけ悔しくて彼の目を反抗的な目で見返した。


「涼くんって見た目と違ってすごく意地悪…。」


『意地悪な僕を望んだのは菜々さんなのに?』


「そんな意味で言ったんじゃないのに…。そうやって、私の反応を見て楽しんでるの?」


『相手が菜々さんだからです。他の女性には意地悪なんてしません』


彼の言葉に心が一瞬で凍りつくほどのショックを受けた。


最初から分かっていたのに、何を勝手に期待して傷ついてるんだろう。


そんな関係になるきっかけを作ったのは私自身だったのに…。


もう彼の視界に入っていることさえ辛かった。


泣いているのを見られたくなくてその場から逃げようとしたのに、彼の手が私の頬に流れ落ちる涙を拭いながら顔を上向きにされ嫌でも彼の視線にまた囚われる。


『菜々さんだけが、僕をこんな風にさせるんです。あなたの事が好きなんです。出会った時からずっと…僕はあなたしかみていません』
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