仮に君と恋をしたなら
ブランコ事件の所為で無駄に叫んでしまい、喉が渇いていた私はサイダーを勢い良く喉へ流し込んで行った。
「俺も」
「ん」
私は飲み差しの缶を真山に手渡した。私たちの間で間接キスだのの躊躇は一切無い。もう慣れっこだ。最初の時は中学生と言っても、衛生的に気にするか否かの伺いを立てるくらいで、それもほとんど適当だった。
真山が缶を持った手をジッと見ている。
「…」
「飲まないの?」
「飲むよ」
そう言ってから真山の手が動く気配はない。
「どうしたの?お腹痛いの?」
「ちげーよ。あのさ、コレ…何でか分かんないんだけど気になっちゃってさ…」
「何が?缶に何か書いてんの?」
「いや、そうじゃなくて。コレ、間接キスだなって…」
……、は?
「何を今更…」
「イヤ、本当そうなんだけどさ!」
「散々してきたじゃん。ほぼ日常的に」
「だから、何でか分かんねーって言ってるじゃん!」
真山の様子がオカシイ。
「やっぱり、どっか具合悪いんじゃ…」
「え。俺、具合悪いの?」
「知らないけど。明らかに変だよ」
「だ〜!サイダー飲みてーよ〜」
その手にサイダーを持っていながらそう嘆く真山が可笑しすぎて、私は隣で大笑いしてしまった。