仮に君と恋をしたなら
「ガキくさ。やめよ。真山、盛大に笑ってゴメン」
「俺も変なこと言ってゴメン」
「本当にね」
「飲み直そうぜ」
真山はカフェオーレとミルクティーをまるでお酒のように持ってそのように言う。真山は私のツボを外さないな。
「フッ…しまった、笑うまいと思ってたのに」
「や、今のは笑ってくれよ」
真山は私にミルクティーの缶を手渡す。
「サイダーでお腹いっぱいだよ、もう」
「違いねー」
私たちは中身の入った缶をただ手に持ちながらベンチに座って、暫く話していた。
「ねぇ、ここに来てから、私たちまともにカップルの見学してないね」
「だな。何せいきなり濃厚なチュー見せられたもんだから逃げちまったし」
「あんなの見てらんないよ」
「でも、俺らもいつかはすんのかなー」
「え?」
それは…、私と真山がっていうこと?!え?
「…え?あ、え?!や、違う違う。違くもないけどそうじゃなくて…」
「あー、うん。大丈夫」
この公園にいる所為なのか、一々変な空気が場を囲もうとする。
如何に今までの私たちが何もなかったか。恋愛じみたことは一つもなかったけど、真山と青春を謳歌して来たことは間違いない。