仮に君と恋をしたなら



「ガキくさ。やめよ。真山、盛大に笑ってゴメン」

「俺も変なこと言ってゴメン」

「本当にね」

「飲み直そうぜ」



真山はカフェオーレとミルクティーをまるでお酒のように持ってそのように言う。真山は私のツボを外さないな。



「フッ…しまった、笑うまいと思ってたのに」

「や、今のは笑ってくれよ」



真山は私にミルクティーの缶を手渡す。



「サイダーでお腹いっぱいだよ、もう」

「違いねー」



私たちは中身の入った缶をただ手に持ちながらベンチに座って、暫く話していた。



「ねぇ、ここに来てから、私たちまともにカップルの見学してないね」

「だな。何せいきなり濃厚なチュー見せられたもんだから逃げちまったし」

「あんなの見てらんないよ」

「でも、俺らもいつかはすんのかなー」

「え?」



それは…、私と真山がっていうこと?!え?



「…え?あ、え?!や、違う違う。違くもないけどそうじゃなくて…」

「あー、うん。大丈夫」



この公園にいる所為なのか、一々変な空気が場を囲もうとする。

如何に今までの私たちが何もなかったか。恋愛じみたことは一つもなかったけど、真山と青春を謳歌して来たことは間違いない。


< 48 / 95 >

この作品をシェア

pagetop