極上な彼の一途な独占欲
「ヒロ…」

「変わってないね、美鈴。相変わらず素直で単純で、かわいい」

「やめてよ」


ヒロが一歩、動く。

私はドアに身体を押しつけた。


「あのときもそうだったよね。ほかに好きな人がいたのに、こんなふうに俺にかわいがってもらったら、コロンって落ちちゃったんだよね」

「やめてよ!」


ヒロの指が頬をなでた。たったそれだけで、かつて馴染んだ肌の匂いを感じた。

今嗅ぎ分けなくていいよ、私の鼻。


「ヒロ」

「今度はどうかなあ?」

「ヒロ、やめて!」


悲鳴をあげたときだった。

背後のドアが激しく叩かれた。ノックなんてささやかなものじゃない。明らかに殴りつけたような、もしくは蹴ったような衝撃だった。

ノブが荒々しく回され、鍵で引っかかりガチンと鳴る。それでもドアの向こうの誰かは回すのをやめない。

動転した私は、反射的にノブを掴んで、回らないよう握りしめた。

焦れたように、ドアを叩く衝撃のほうが強くなる。

ヒロがくすっと笑い、その足がまた一歩動いた。


「あらら」

「ヒロ…?」


ドアはもう、壊れるんじゃないかってくらいの襲撃を受けている。私はもう目的もわからず、必死にドアを押さえ、ノブを握っていた。


「ヒロ、ねえ、なんのつもり」

「なんのつもりだろうねえ」

「やめてよ」

「どうしよっかな」

「やめてよ!」
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