極上な彼の一途な独占欲
「お疲れ様です、伊吹さん」
編集室のドアを開けたら、なじみの声に迎えられた。神部だ。
「いらしてたんですね、お疲れ様です」
「うちの子たちも現場に行くものですから。前もって情報をいただいておいて、ご迷惑をおかけしないようにしないと」
端正な顔が微笑むと、女優のような存在感を放つ。
大手であることに甘んじないフットワークの軽さと謙虚さで、神部の会社は伊吹たちの間で、すでになくてはならない取引相手になりつつある。
家族のような緊密な絆をもってコンパニオンの力を引き出す美鈴たちの会社とはまた違った魅力があり、おそらく今後、この二社を使い分けていくことになると伊吹は踏んでいた。
「ブラックでよろしい?」
「ありがとう、ですがお構いなく」
テーブルをコの字に囲むソファに腰を下ろした伊吹に宮野が資料を渡す横で、神部がポットからコーヒーを注ぎ、テーブルに置いた。
女優と言ったのは単に今日の服装や化粧が女性のものに見えるからで、伊吹から見たら神部はれっきとした男だ。
このぶれない雰囲気。気まぐれなようでいて、醸し出す空気はあくまで一定だ。どこで会っても神部とわかる。美鈴のような例外を除けば、そういう存在は伊吹にとって、"男"に分類されるのだ。
撮影監督を交えてあれこれ打ち合わせをし、まとまったところでちょうどタイムリミットの12時になった。
神部がペンで口元を叩き、難しい顔をしている。
「これ、すぐ現場担当と共有したいですわね。天羽を呼び出そうかしら」
帰り支度をしていた伊吹は、それを聞いてつい手を止めた。
神部が携帯を耳に当てた。美鈴なら今頃たぶんうちのベッドでふて寝してます、と言えるはずもなく、伊吹は居心地悪くそれを見守る。
やがて神部はちっと舌打ちし「出ないわ」と携帯をバッグにしまった。
「まあいいわ、週明けすぐにでも打ち合わせするとします」
「必要があれば俺も呼んでください」
「なくてもお呼びしたいところですが、なるべくお手を煩わせないよう努めますわ」
編集室のドアを開けたら、なじみの声に迎えられた。神部だ。
「いらしてたんですね、お疲れ様です」
「うちの子たちも現場に行くものですから。前もって情報をいただいておいて、ご迷惑をおかけしないようにしないと」
端正な顔が微笑むと、女優のような存在感を放つ。
大手であることに甘んじないフットワークの軽さと謙虚さで、神部の会社は伊吹たちの間で、すでになくてはならない取引相手になりつつある。
家族のような緊密な絆をもってコンパニオンの力を引き出す美鈴たちの会社とはまた違った魅力があり、おそらく今後、この二社を使い分けていくことになると伊吹は踏んでいた。
「ブラックでよろしい?」
「ありがとう、ですがお構いなく」
テーブルをコの字に囲むソファに腰を下ろした伊吹に宮野が資料を渡す横で、神部がポットからコーヒーを注ぎ、テーブルに置いた。
女優と言ったのは単に今日の服装や化粧が女性のものに見えるからで、伊吹から見たら神部はれっきとした男だ。
このぶれない雰囲気。気まぐれなようでいて、醸し出す空気はあくまで一定だ。どこで会っても神部とわかる。美鈴のような例外を除けば、そういう存在は伊吹にとって、"男"に分類されるのだ。
撮影監督を交えてあれこれ打ち合わせをし、まとまったところでちょうどタイムリミットの12時になった。
神部がペンで口元を叩き、難しい顔をしている。
「これ、すぐ現場担当と共有したいですわね。天羽を呼び出そうかしら」
帰り支度をしていた伊吹は、それを聞いてつい手を止めた。
神部が携帯を耳に当てた。美鈴なら今頃たぶんうちのベッドでふて寝してます、と言えるはずもなく、伊吹は居心地悪くそれを見守る。
やがて神部はちっと舌打ちし「出ないわ」と携帯をバッグにしまった。
「まあいいわ、週明けすぐにでも打ち合わせするとします」
「必要があれば俺も呼んでください」
「なくてもお呼びしたいところですが、なるべくお手を煩わせないよう努めますわ」