不器用な彼氏
海成の浴衣の前をギュッと握りながら、優しく甘い口づけに、しばし委ねてみるが、深くなるにしたがって、脳内が蕩けるような錯覚に陥り、全身から力が抜けてしまいそうになる。
海成の左手が、倒れないようにと、支えてくれているようなのだけれど、いつしか、浴衣を握る手さえも、力が入らなくなる。
“もう立っていられない…”
そう思った瞬間、やっとキスの呪縛から解放してくれる。
途端、乱れた息で海成の胸に、倒れこむ。
『ふぅ…』
『…息、上がってるぞ?』
自分の手中にある私を、抱きとめたままで、上からのぞき込むようにして私を見つめる海成。
呼吸を整えながら、見上げると、いかにも満足げな顔で、嬉しそうに言う。
こちらは、もうこれだけで、充分テンパってるというのに、なんと、涼し気な顔でいるのだろう?
私はまだ、呼吸が乱れたままで、返事もままならないというのに。
『部屋…入るか?』
『……それ…聞く?』
『フッ、意地悪しすぎたな……中、入るぞ』
そういうと、室内へのガラス扉を開け、まだふらつく私の手を取り、誘導してくれる。
扉が閉まると、さっきまで近くに聞こえていた波の音が、ほんの少し遠くに聞こえた。
室内は、ほとんどの照明が落とされ、足元の間接照明だけが、淡い柔らかな光を落としている。
あまりに静かで、さっきから煩いほど、高鳴るこの胸の鼓動まで、海成に聞こえるんじゃないか?と、思うほど、静寂に包まれている…。
海成の左手が、倒れないようにと、支えてくれているようなのだけれど、いつしか、浴衣を握る手さえも、力が入らなくなる。
“もう立っていられない…”
そう思った瞬間、やっとキスの呪縛から解放してくれる。
途端、乱れた息で海成の胸に、倒れこむ。
『ふぅ…』
『…息、上がってるぞ?』
自分の手中にある私を、抱きとめたままで、上からのぞき込むようにして私を見つめる海成。
呼吸を整えながら、見上げると、いかにも満足げな顔で、嬉しそうに言う。
こちらは、もうこれだけで、充分テンパってるというのに、なんと、涼し気な顔でいるのだろう?
私はまだ、呼吸が乱れたままで、返事もままならないというのに。
『部屋…入るか?』
『……それ…聞く?』
『フッ、意地悪しすぎたな……中、入るぞ』
そういうと、室内へのガラス扉を開け、まだふらつく私の手を取り、誘導してくれる。
扉が閉まると、さっきまで近くに聞こえていた波の音が、ほんの少し遠くに聞こえた。
室内は、ほとんどの照明が落とされ、足元の間接照明だけが、淡い柔らかな光を落としている。
あまりに静かで、さっきから煩いほど、高鳴るこの胸の鼓動まで、海成に聞こえるんじゃないか?と、思うほど、静寂に包まれている…。