不器用な彼氏
公園近くのパーキングで、お姉さんの車だという、真っ赤なアクセラに乗り込む。女性の乗る車にしては、スポーティでスタイリッシュ。
『かっこいい車だね』
『そうか?この色、趣味悪ぃだろ』
良いながらエンジンをかけ、ドライブモードにシフトチェンジすると、駐車場を出て街中へと、軽快に走り出す。助手席から、運転する彼を見て、思わず見蕩れてしまう。
その視線に気がつき『何だよ』と彼。
『私、進藤さんの運転、初めて見るかも』
『ああ、そういえば、お前と現場とか行った事ねぇな』
『何か…』
『何か、何だよ』
『悪くないかも…』
『はぁ?…意味わかんねぇこと言ってんな!バカッ』
怒り口調だけど、ほんのり耳が赤くなっているのは、見逃さない。
こういう時は、照れてる証拠。
『ふふふ』
『気持ち悪ぃから、ジロジロ見るなよ。運転に集中できねぇ』
言いながら、左手でオーディオの電源を入れ、音楽のボリュームを少しだけ上げる。流れてきたのは、お姉さんのセレクトだろうか?
ドリカムのベスト。中でもアップテンポな曲がかかる。
『あ、この曲好き』
『世代だな』
『お姉さんと、いくつ違うの?』
『3つ。年の話するとマジ怖えから、家では禁句だ』
進藤さんが怖いって、どんなお姉さんだろう?一瞬女装した彼を想像して、吹き出す。
『言っとくけど、似てねぇからな』
あちゃ~読まれてる…。
窓の外を見ると、ちょうど去年まで毎日通勤していた、職場の前を通り過ぎたところだった。何だか、時間の経過を感じて、懐かしい。しばらく、左右には、のんびりとした田園風景が広がる。
車は、保土ヶ谷バイパスを走り、狩場の先から首都高湾岸線に乗ると、辺りは途端に都会の風景へと移行していく。
『…なんか、デートっぽくなってきた』
思わずつぶやいてしまう。
ふと、ヘビースモーカーの彼が、タバコを吸っていないことに気がつき、『あ、たばこ吸ってもいいよ?』と言うと、
『吸ったら姉貴に殺される』
そういうと、カーアシュトレイを開いてみせる。
中には、ビーズで出来た可愛らしい小物がいくつか入っていて、どう見ても灰皿には使えない。
『なるほど』
湾岸線は、真っ青な空と海の中、ベイブリッジを抜け、目的地のお台場をめざす。
『かっこいい車だね』
『そうか?この色、趣味悪ぃだろ』
良いながらエンジンをかけ、ドライブモードにシフトチェンジすると、駐車場を出て街中へと、軽快に走り出す。助手席から、運転する彼を見て、思わず見蕩れてしまう。
その視線に気がつき『何だよ』と彼。
『私、進藤さんの運転、初めて見るかも』
『ああ、そういえば、お前と現場とか行った事ねぇな』
『何か…』
『何か、何だよ』
『悪くないかも…』
『はぁ?…意味わかんねぇこと言ってんな!バカッ』
怒り口調だけど、ほんのり耳が赤くなっているのは、見逃さない。
こういう時は、照れてる証拠。
『ふふふ』
『気持ち悪ぃから、ジロジロ見るなよ。運転に集中できねぇ』
言いながら、左手でオーディオの電源を入れ、音楽のボリュームを少しだけ上げる。流れてきたのは、お姉さんのセレクトだろうか?
ドリカムのベスト。中でもアップテンポな曲がかかる。
『あ、この曲好き』
『世代だな』
『お姉さんと、いくつ違うの?』
『3つ。年の話するとマジ怖えから、家では禁句だ』
進藤さんが怖いって、どんなお姉さんだろう?一瞬女装した彼を想像して、吹き出す。
『言っとくけど、似てねぇからな』
あちゃ~読まれてる…。
窓の外を見ると、ちょうど去年まで毎日通勤していた、職場の前を通り過ぎたところだった。何だか、時間の経過を感じて、懐かしい。しばらく、左右には、のんびりとした田園風景が広がる。
車は、保土ヶ谷バイパスを走り、狩場の先から首都高湾岸線に乗ると、辺りは途端に都会の風景へと移行していく。
『…なんか、デートっぽくなってきた』
思わずつぶやいてしまう。
ふと、ヘビースモーカーの彼が、タバコを吸っていないことに気がつき、『あ、たばこ吸ってもいいよ?』と言うと、
『吸ったら姉貴に殺される』
そういうと、カーアシュトレイを開いてみせる。
中には、ビーズで出来た可愛らしい小物がいくつか入っていて、どう見ても灰皿には使えない。
『なるほど』
湾岸線は、真っ青な空と海の中、ベイブリッジを抜け、目的地のお台場をめざす。