プレミアムステイは寝不足がベスト
ふたりが別れたきっかけは、彼の浮気だ。
誠実だった彼は、幸か不幸か浮気に慣れてはいなかったようで、あまりに隠すのが下手だった。
急にジムに通いだしたり、下着を新しくしたり、わかりやすいサインがあったため、発覚までにさして時間はかからなかったという。
8年も共に過ごした彼が、他の女とデートしていたという事実だけでも耐え難い。
それなのに、追い討ちをかけるように判明した彼の行動に、彼女の心はズタズタに切り裂かれた。
彼が彼女のためにはやらなかったデートのセッティングや旅行の手配を、相手の女のためには率先してやっていた。
彼女には当たり前のように掃除や洗濯、料理をさせていたのに、相手の女とはこじゃれたビストロに誘ってフレンチを食べていた。
彼女と過ごすときは楽だからという理由で自宅で済ませていたのに、相手の女とはラグジュアリーなホテルを取っていた。
本命の恋人であるはずの彼女を惨めにするには十分すぎる、扱いの差。
さっき彼女が言った『楽』という言葉が『自然体』という意味を越えて単なる『甘え』になっていたことは明らかである。
彼は別れを切り出した彼女に平謝りして『出来心だった。許してほしい』とすがったそうだが、彼女に迷いはなかったし、意思は固かった。
別れのあと、私は彼女から電話をもらい、号泣する彼女に一晩中付き合った。
思いきり贅沢をしようとふたりでこのホテルをネット予約したのはその晩である。