浅葱色の妖

「まあ入れ」



先に部屋に入った土方さんが言った。



そしてたんすの引き出しをあけて着物をいろいろと出して見始めた。



「大きさがちょうどいいのがないんでな。ちょっと待っていてくれ。小さいのがあったかもしれない」



そう言いながら彼は綺麗にたたまれた着物をどんどんたんすから出していく。



「ああ、これ…」



何か着物を取り出して広げた。



女物の着物だが、いかにも遊郭の女が来ていそうな着物だ。



なんでそんなものを…。



「なんで持ってるのかって顔してるな。女が贈り物としていろいろ贈ってくるんだ。他にもほら」



私の思ったことは顔に出ていたようで、土方さんは説明してくれた。



他にもたくさんの女物の着物を広げる。



やはり女に人気があるのか。
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