浅葱色の妖

その男は、私を見るなり眉をひそめて、いかにも嫌そうな顔をした。



私と目が合うと顔を背けて私から一番遠いところに座って隣の男に話しかけた。



「あの汚い女はなんですか。また土方さんについてきた馬鹿女ですか」




聞こえてるんですけど。




土方さんといいこの人といい新選組はこんなのばっかりか。




すると隣にいた豪快そうな男はがははと笑った。




「トシは女に人気だからなあ。あんなに逃げ足の速い奴についてこれる女などそんなに多くないぞ。あっはは」




色黒の男が毒づいたのを気にしてもいないのかそんなことを言った。




「笑いごとじゃないでしょう近藤さん…」



色黒の男は呆れたようにため息をついた。
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