副社長は甘くて強引
「すみません!」
「ん? なぜ、謝るんだ?」
「だって……」
副社長はキョトンとしながらスラックスのポケットからハンカチを取り出すと、濡れた手を拭く。
「風邪を引く。早く髪の毛を乾かしたほうがいい」
「あ、はい」
副社長でありながら家事まで手際よくこなしてしまう彼を尊敬する。その一方で、だらしない自分が嫌になる。ため息をつきながら、ドレッサーからドライヤーを取り出す。
「ほら、貸して」
「えっ?」
ベッドに腰を下ろした副社長が、手のひらを差し出す。
「俺が乾かしてあげよう。さあ、ここに座って」
「……っ!」
彼が指を差したのは、両足を広げたスペース。そこに座って髪の毛を乾かしてもらうなんて、恥ずかしくて無理ですからっ!
ドライヤーを胸に抱えながら、フルフルと首を横に振る。
「ほお。俺に反抗するとはいい度胸しているね。そうか。それなら仕方ない。こうなったらキミを力ずくでうつ伏せにして、その上に馬乗りになって髪の毛を乾かすしかないかな……」
副社長は口もとをニヤリと上げるとベッドから立ち上がる。その不気味な笑顔は背筋が凍ってしまいそうなほど怖い。
うつ伏せで馬乗りって、そんなの絶対に嫌だっ!
抱えていたドライヤーをすぐに差し出す。
「……お、お願いします」
「ん。素直でよろしい」