副社長は甘くて強引

「そうか。それなら月末にデートしよう。場所は東京プリマホテルのスイートルームだ」

 ついさっきまで不機嫌だった彼の顔に笑みが浮かぶ。けれど私の気持ちは複雑だ。

「月末って販売成績の結果が出る日ですね」

 もし、販売成績が最下位だったらどうしよう……。

 不安が大きく膨らむ。

 でも彼のおかげで元気はチャージできた。これからの販売成績は私の努力次第だ。

 自分を励まし、気合いを入れる。

「ああそうだ。京香の販売成績が伸びていたら、ご褒美に今日の続きをしよう」

「あ……はい」

 彼が言う『この先』とは、キスから先の行為のこと。東京プリマホテルの豪華なスイートルームで素肌をさらして抱き合う自分たちの姿を想像してしまい、頬が熱くなる。

「販売成績が最下位だったら罰として今日の続きをする」

 いったい、どんなことが待ち受けているのかと思ったら……。

「結局、さっきの続きをするんじゃないですかっ!」

 ヤル気満々の彼にツッコまずにはいられない。

「あたり前だろ。思いきりかわいがってやるから覚悟しておくように。いいね?」

「……」

 今日以上のことをされたら、自分がどうなってしまうのかわからない。不安を抱えて黙り込む私に、彼の顔が迫る。

「返事は?」

 こんな状態でNOとは言えない。

「……はい」

「ん。素直でよろしい」

 私の返事を聞いた彼が白い歯を見せて微笑む。少年のようなその笑顔につられるように、私の口もとも自然に緩んだ。

< 115 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop