副社長は甘くて強引
ふたりで笑い合っていると、開場の案内がある。お兄さんと一緒にパーティー会場に入る。まぶしく輝くシャンデリアが印象的な会場の広さと招待客の多さに驚く。そして色鮮やかなフォーマルドレスや、雅な着物に身を包んだ女性の姿に羨望のまなざしを向ける。
まるで舞踏会に迷い込んだみたい……。
夢心地でいると、パーティー会場のステージに本日の主役である樋口さんが姿を現す。
長い手足にスッと伸びた背筋。黒いタキシード姿の樋口さんが輝いて見えるのは、スポットライトのせいだけじゃない。彼は副社長に就任した自信とやる気に満ちあふれているのだ。
かっこいい人だな……。
それが樋口さんの第一印象。ステージという目立つ場所に立っているせいか、彼が俳優や歌手のように見えてくる。
就任の挨拶なんか耳に届かない。ステージに立つ樋口さんの姿に見惚れていると、あっという間にスピーチが終わってしまった。
「京香ちゃん、はい」
「ありがとうございます」
黄金色の液体が注がれたシャンパングラスをお兄さんから受け取ると、乾杯の発声とともに会食がスタートする。
待ちに待った時間がようやく訪れた。