副社長は甘くて強引
「お兄さん! なにから食べますか?」
「そうだな……」
今日のパーティーは立食ビュッフェスタイル。オードブルからデザートまで、種類豊富な料理はどれもおいしそう。悩みつつも、いろいろな料理をお皿に少量ずつ取り分けていく。
「いただきます!」
早速、真鯛のポワレを口に運ぶ。
「んー! おいしい!」
ホテルならではの上品な味わいに感動していると、お兄さんがクスクスと笑う。
「京香ちゃんは本当にかわいいな」
「もう、からかわないでくださいっ!」
おいしいお料理と弾む会話。シャンパンを飲んだせいか、普段よりも気分が上がる。
陽斗も一緒だったら、もっと楽しいのにな。
この場にはいない陽斗のことが頭にチラついたとき、背後から声をかけられた。
「そこのキミたち。俺の誕生日パーティーでイチャつかないでくれないか」
突然のことに驚き振り返る。そこには、ついさっきまでステージに立っていた樋口さんの姿があった。
「直哉!」
お兄さんがうれしそうな声をあげる。
「悠斗、久しぶりだな」
「ああ。直哉、このたびはおめでとう」
「ありがとう」
お兄さんと樋口さんが握手を交わす。久しぶりの再会を喜ぶふたりの様子を微笑ましく見ていると、樋口さんと視線が合う。
「はじめまして。樋口直哉です。今日はお越しくださってありがとうございます」
間近で見る樋口さんは、凜々しくてオーラがある。魅力的な彼を前にした私の鼓動が、トクトクと早鐘を打つ。