副社長は甘くて強引

「お兄さん! なにから食べますか?」

「そうだな……」

 今日のパーティーは立食ビュッフェスタイル。オードブルからデザートまで、種類豊富な料理はどれもおいしそう。悩みつつも、いろいろな料理をお皿に少量ずつ取り分けていく。

「いただきます!」

 早速、真鯛のポワレを口に運ぶ。

「んー! おいしい!」

 ホテルならではの上品な味わいに感動していると、お兄さんがクスクスと笑う。

「京香ちゃんは本当にかわいいな」

「もう、からかわないでくださいっ!」

 おいしいお料理と弾む会話。シャンパンを飲んだせいか、普段よりも気分が上がる。

 陽斗も一緒だったら、もっと楽しいのにな。

 この場にはいない陽斗のことが頭にチラついたとき、背後から声をかけられた。

「そこのキミたち。俺の誕生日パーティーでイチャつかないでくれないか」

 突然のことに驚き振り返る。そこには、ついさっきまでステージに立っていた樋口さんの姿があった。

「直哉!」

 お兄さんがうれしそうな声をあげる。

「悠斗、久しぶりだな」

「ああ。直哉、このたびはおめでとう」

「ありがとう」

 お兄さんと樋口さんが握手を交わす。久しぶりの再会を喜ぶふたりの様子を微笑ましく見ていると、樋口さんと視線が合う。

「はじめまして。樋口直哉です。今日はお越しくださってありがとうございます」

 間近で見る樋口さんは、凜々しくてオーラがある。魅力的な彼を前にした私の鼓動が、トクトクと早鐘を打つ。

< 22 / 116 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop