副社長は甘くて強引

 会話が弾むこともなく、十五分。副社長は大通りから一本奥に入った路地裏の駐車場に車を止める。

「こっちだ」

「あ、はい」

 車から降りて足早に進む彼の後を追う。たどり着いたのは、とある一軒家。パンジーとビオラの鉢植えが綺麗に並べられたアプローチを進むと、彼は迷うことなく木目調のドアを開ける。

「いらっしゃいませぇ。お待ちしてましたぁ」

 副社長と私を迎え入れてくれたのはガタイのいい男性。肩幅が広く、十一月も下旬だというのに黒い半袖シャツを着ていて、二の腕は丸太のように太く逞しい。

「急に悪いな」

「いいのよぉ。樋口ちゃんの頼みだもん、気にしないでぇ」

 副社長が気を遣っていることに驚き、そして男性の見た目と言葉のギャップに衝撃を受ける。思わず呆気にとられていると、彼が暴言を吐いた。

「この野暮ったい女をどうにかしてくれないか?」

 や、野暮ったい!?

 一瞬のうちに頭に血がのぼってしまう。

 私のスタイルが気に入らなかったからって、その言い方はひどくない?

 今度こそ文句のひとつやふたつ言ってやらないと気が済まない。副社長に向かって口を開きかけたとき、男性の大きな手が私の肩に添えられた。

「了解~。さ、どうぞ」

「……はい」

 喉まで出かかった文句をのみ込むと、男性の誘導に従う。

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