キスする瞬間。
「あっ、結衣子さん、見っけ。お疲れ様です」


私の名前を言い手を振りながら真奈美ちゃんが近づいて来た。


中高とバレー部で部長をしてたと言う真奈美ちゃんはいつでも声がデカイ。


「お疲れ。‥お昼の事件、片付いたの?」


倉橋と同じ課の真奈美ちゃんに探りを入れる。


「MR物産の件ですか?大丈夫だったって課長に連絡きてましたよ。渡辺君が時間を勘違いしてたみたいで、主任もトバッチリですよね」


良かった~。ちょっと心配してた。


ううん、スッゴ~ク心配してた。


最近、倉橋から渡辺君に引き継ぎされた取り引き先。
約束の時間になっても来ない渡辺君に痺れを切らし倉橋に連絡がきたみたいだ。


真奈美ちゃんが一連の流れを説明してくれた。


「取引継続の契約だったみたいですけど、これが新規先ならアウトでしたよね」


真奈美ちゃんがロッカーからバッグを取り出しながらちょっと笑う。


「渡辺君、ちょっと抜けてるって言うか頑張ってる割りには空回りしてる感じですよね。
主任からお説教ですね、今日は」


倉橋の顔を思い浮かべる。
無愛想で喜怒哀楽の感情を顔にあまり出さない。


「渡辺君の話は置いといて。結衣子さん、給料日だし飲みに行きませんか?」


「ごめん。今日は‥ちょっと‥」


「何?デートですか?」


「違う、違う。明日、朝早く出掛けるから」


「怪しいな~、最近付き合い悪いですよ」


デートと言えばデートなんだけど…。
詳しく言えないから曖昧な表情を真奈美ちゃんに見せる。
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