キスする瞬間。
ディナーまで時間はたっぷりあった。
ゆっくりとお風呂を満喫出来た。


パックまで用意されていて肌に潤いを注入する。


部屋に戻ると倉橋はベッドで横になってた。
疲れちゃったのかな。


「孝ちゃん、レストランに行こうか?」


目を開けない倉橋の顔を覗きこむ。


「孝ちゃん、ディナーに行くよ~」


さっきより大きめの声で起こす。
勢いよく体を動かした倉橋の頭が私のオデコにぶつかった。


イッツ―――――――。


「ごめんっ、結衣。ごめん」


「‥痛いんですけど…もうっ」


オデコを押さえながら倉橋を睨む。
目があった瞬間、2人して笑ってた。


「ったく。許さない。これでもくらえっ」


そう言って倉橋のネクタイを引っ張った。


真顔になった倉橋。
近くにきた唇に唇を合わせてやった。





ふと、1年前のあの日を思い出した。
2人が付き合うきっかけになった出来事。


会社のボーリング大会。
幹事をさせられた私達は景品を運ぶために会場に車で出掛けた。
大会が無事終わり会社に車で帰る。


迂闊にも助手席で寝てしまった私。倉橋が私を起こした。慌てて起きた私の頭が倉橋のオデコにぶつかった。


2人して謝りながら笑ってた。


倉橋の笑った顔。
好きだなと思った。


真顔で見つめた私を倉橋も真顔で見つめた。


2人だけの車内。
邪魔するものはない。


目を閉じた私に倉橋がそっと優しくキスをした。



< 8 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop