御曹司と愛されふたり暮らし
「え?」

「私が今まで付き合ってきた人数は、0人です」

私がそう答えると、彼は切れ長の瞳で私をじっと見つめ、パチパチと何度か瞬かせた。

そんな反応されると、かなり恥ずかしいんですけど!


「0人? マジで? じゃあ、キスしたりは?」

「……ない」

「じゃあ……あー……なんて言えばいやらしくないんだろうな、その」

「その発言でなにが言いたいのかわかったよ。……経験は、ないよ」

恥ずかしいけど、もしハルくんと付き合うことになったら、きっと言わなきゃいけないこと。それなら、この流れで言ってしまった方が楽なのでは……と思った。


「そうか、経験ないのか」

と、ハルくんはなぜか、うんうんと何度も頷きながら私の言葉を繰り返した。


「もしかして、バカにしてる?」

「え? いや、してないしてない」

「だって仕方ないじゃない! 女子中、女子高、女子大だったから、男性とはほとんど出会いもなかったし、そもそも男性はニガテなんだもの!」

「だからバカになんてしてねぇって。
……でも」

そこでいったん言葉を区切り、まじまじと私を見つめるハルくんを、私も見つめ返した。



「じゃあお互い、恋愛初心者だ」


笑顔で、でも真面目にそう言われると、ハルくんは恋愛初心者なのか?と少し首を傾げてしまうところはあるけれど、彼自身がそう言うのならそうなのだろう。


私たちはお互い、初恋以来、人を好きになるという感情を誰にも抱いてこなかった。


恋の仕方がよくわかっていない。
恋愛初心者だ。
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