御曹司と愛されふたり暮らし
その後、いつも通りに出勤し、いつも通りに仕事をしていると、夕方の落ち着いた時間に、瑞樹ちゃんが私のデスクまでやってきて、

「戸山さん、コレ、取引先のはなまるデパートからいただいたんですが、良かったらどうぞ」

と、私になにかを差し出してくれた。

それは薄手のカタログだった。
チョコレートのカタログのようだ。

そうか、来月はバレンタインだもんね。


「ありがとう。いただくね」

そう言って、瑞樹ちゃんからカタログを受け取ると。


「わあ、今年はどうしたんですか?」

と、瑞樹ちゃんに質問される。


「どうしたって?」

「だって戸山さん、去年は『バレンタインは私には関係ないかな』って言ってカタログを見さえしなかったし、それでなくてもこういう恋愛イベントとかにいつも一切興味もたないじゃないですか」

「い、一切ってことは……」

でも、確かに今までバレンタインに興味を持たなかったのは事実だ。興味を持たなかったというか、自分には縁のないイベントだと思っていた。

でも、今年は……。
思い浮かべるのは、もちろんハルくんの顔。


「また恋バナゆっくり聞かせてくださいねー! 応援してます!」

瑞樹ちゃんはそう言って事務室を出ていった。

私はもう一度、改めてカタログに目を通す。


こういうバレンタインチョコって意外に高いのね。今までお父さんにしかチョコ買ったことなかったから知らなかった。お父さんにはこんなにオシャレなチョコあげなかったし。

おいしそうなチョコ、高級そうなチョコ、かわいらしいチョコ……。いろいろあるけれど、ハルくんにはどれがいいんだろう?どれが喜んでくれるんだろう?

と、思いを巡らせながらカタログをめくっていると、後ろの特集に、手作りチョコのページがあった。


……手作り、かぁ……。
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