御曹司と愛されふたり暮らし
とりあえず、私は慌ててLINEでハルくんに【ごめん!夕飯いらないです!】とだけ打って、みんなと一緒に店内へと入った。



それなりに賑やかな店内で、ちょうど六人用の個室に通され、盛り上がる(私と瑞樹ちゃん以外の人たちが)。

男性たちは三人ともそれなりにカッコいいし、話を聞く限りは高収入で、私のような平凡な女にはもったいない男性たちだと思う。
でも、私は早く帰りたくて帰りたくて仕方なかった。早くハルくんに会いたい。本当は、ハルくんの作ってくれたご飯を、ハルくんと一緒に笑い合いながら食べたかった。
デートの約束がなくなったのは、仕事なら仕方ないと思っていたけど。
合コンなんてひどいよ、橋上さん。そりゃぁ、いつも仕事でお世話になっているし、私が参加することで橋上さんが助かるのなら力になってあげたいとも思うけど……。


チラ、と携帯を見れば、ハルくんからの返信で【了解。仕事大変だな。がんばれ】と書いてあって……ますます胸が痛んだ。


すると。


「カナちゃーん、ひどくなーい? 俺たち放って携帯いじりー?」

と、男性のうちのひとりが私の隣に無理やり座ってきた。

うっ、酒くさい! それにちょっとイケイケな感じで、チャラチャラもしているし、私が特にニガテなタイプの男性だ!


「す、すみません。そういうわけじゃないんですけど……」

「はははっ。わかってるわかってる~。カナちゃんかわいいよね~。慣れてない感じが特にかわいい~」

そう言って男性は、私の肩に手を回してくる……。
それだけならまだしも、もう片方の手が、私のスカートの上から太ももを撫でてきたりして……やだ、気持ち悪い!
でも、橋上さんをチラ、と見れば、”ガマンしなさい”と言わんばかりの視線を返されて。確かに、私がここで拒絶して騒いだりしたら、場の空気を壊しかねないけど……!


「カナちゃん、さっきから飲んでないじゃん。ホラ、ビール!」

「あ、私はお酒は……」

「なに? 飲めないの?」

「えと……」

まったく飲めないわけじゃないけど、特別好きっていうわけでもない。それに、今日は家に帰ったら、ハルくんにバレンタインチョコを渡すんだから。お酒くさくなりたくない。

……なのに。

「ほらぁ~、戸山さん、せっかく男性がこう言ってるんだから!」

と、橋上さんに言われてしまう。
さっきと同じで、私がここで断ったら変な空気になるのかも……。


仕方なく、一杯だけいただくことにしたけれど、後からどんどん追加で注がれ、合コンが終わる頃には気分が悪くなってしまった。
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