御曹司と愛されふたり暮らし
「え、あの、それはちょっと……」

私がやんわりと断ると、彼の目つきが鋭くなり、口調もさらにキツいものとなる。


「フザけんなよ。家まで送るって言ったのを了承したのはそういうことだろーが」

「え、えっ」

そ、そうなの? そんなつもりなかったけど……!


私の発言が彼を誤解させてしまったのなら、それは私の責任だ。
だけど、部屋の中までなんて上げられない……! いや、そもそも私はここには住んでいないんだけど……!


「ちっ」

すると彼は突然舌打ちをして。

そして、私の腕をつかんで、植え込みに押し倒してきた。


なにっ!? 怖い!!


相当お酒に酔っているのだろう。彼は目もうつろだ。
怖い、私なにされるの!? 怖すぎる!!


大声を出そうとしたけれど、右手で口もとを押さえられてしまい、声が出ない。


抵抗するも、私の力が男性である彼の力に敵うはずもなく。


心臓が凍りつくかのような恐怖心に襲われ、涙も出てきた、その時――。



「花菜っ!!」

幻聴かと思った。

ハルくんの声が聞こえた。

でも、それは幻聴ではなくて。


視線の先には、ハルくんの姿があった――……。
< 119 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop