御曹司と愛されふたり暮らし
ハルくんは、私に覆いかぶさっていた男性の襟元を後ろから掴むと、そのまま男性を後ろに投げ飛ばした。

「いって!」

男性が動けないでいる間に、ハルくんは私の腕をつかみ、

「立てるか? 行くぞ」

と言って、私を連れてその場から立ち去った……。




駅の方まで戻ってくると、人通りもまだあって、街灯も明るいし、少し安心した。

なによりハルくんが一緒にいてくれるし……でも……。


「ハルくん、ありがとう……。でもなんでここに……?」

当然の質問を彼にしてみると。


「思ったより帰りが遅いから、心配になって。その……前に怒られたけど、ホラ、居場所がわかるようになってるから」

「あ……」

そうだ。私の鍵、GPSがつけられてるんだった。初めて知ったあの時は驚いて嫌がったけど、ついそのままにしてしまっていた。というかちょっと忘れていた。まさかこのGPSに助けられるとは。


「でも良かった。なにもされてないよな?」

「う、うん。大丈夫」

「ケガは?」

「してないよ」

良かった、と安心した顔を見せてくれる彼に、私の心はちくん、と痛んだ。


「な、んで……?」

「え?」

私の小さな声を、ハルくんが聞き返す。


「なんで、怒らないの……?」
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