御曹司と愛されふたり暮らし
「オイ、花菜の前で変なこと言うな。怒るぞ」

「もう怒ってるじゃん。ていうか、花菜ちゃんだってホントのこと知りたいと思ってるんじゃない?」


なんだろう。ふたりの会話についていけない。

でも、胸騒ぎはどんどん大きくなっていく。


えりちゃんの言葉も思い出す。

ハルくんが昔、チャラチャラしてたって。女の子をとっかえひっかえしてたって。



「まあいいや。これ以上ここにいたら遥貴にキレられそうだし、もう帰ろっと」

唯くんはそう言って、ソファから腰をあげ、玄関の方へ向かっていく。


「あ、ロビーまで送るね」

私もそう言って、玄関へ向かう唯くんを後ろから追いかける。

ハルくんは、ソファに座ったまま動かない。
……なんとなく様子がおかしい気がして、私は彼になにも言えず、とりあえず私ひとりで唯くんを見送ることにした。


「今日は急に来てごめんね」

下降していく、ふたりきりのエレベーターの中で、唯くんが私にそう謝った。


「そんな。全然いいんだよ。こっちこそ、なんのお構いもできなくてごめんね」

「ハハッ。真面目か」

エレベーターはノンストップで一階まで降りていき、私たちをおろすためにゆっくりと開いた。


「じゃあね、花菜ちゃん。またね」

マンションの入り口で、唯くんが軽く右手を挙げながら私にそう言う。
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