御曹司と愛されふたり暮らし
「本当なの?」

彼の顔を覗きこんでそう尋ねると、彼はやっぱり私の顔を見ないまま、とりあえず水道の水の出を止めて、


「……だったら?」

と答える。


冷たい声。言い方も冷たい。こんな彼……初めてかも。



「だ、だったとしても、私は別に――だけど、本当なら、ハルくんの口から聞きたいと思って――……」

今のハルくんがなんだか怖くて、私の言い方はしどろもどろになってしまう。

だけど、えりちゃんと唯くんが言っていたことが本当だったとしても別に構わない、という気持ちも本当だ。

ただ、ウワサは信じたくないから、ハルくん自身から本当のことを知りたいのだ。


すると、彼は。



「本当だよ。言い寄ってくる女はたくさんいたし、何人とヤッたかわからないな」

と、言い放った。

ようやく私を見てくれた。でも、その視線はどこまでも冷たい。


「そ、そうなんだね。誰にだって過去はあるもんね。で、でも、何人とヤッたか……なんて、そんな言い方しなくても……」

と、私はなるべく、明るく答えようとするけれど。


「女なんて、ちょっとやさしくすればすぐに股開くし、バカみたいな生き物だよな」

……なんて言ってきて。
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