御曹司と愛されふたり暮らし
「唯。なにか答えろ。答えないと……」

ハルくんが、拳を握って、さらに一歩、唯くんに詰め寄る。


私は慌てて、ハルくんのその拳を両手で握った。


「花菜?」

「ダメ! これ以上ケンカしないで!」

私の目からは、思わず涙がこぼれていた。


やさしいハルくんが、これ以上怒る姿を見たくない。苦しむ姿も見たくない。


だけど、唯くんだって。


私は覚えてる。

昔の唯くんは、いつもハルくんの後ろを追いかけてくる、かわいい男の子だった。


ハルくんも唯くんも、昔から笑顔がなにも変わらない、素敵な兄弟だ。


悲しい誤解で、これ以上仲違いしないで。



「お願い……」



震える声で、ハルくんにそうお願いすると。




「……俺だって……」

唯くんが、ポツリ、と言葉を口にした。




「俺だって、がんばってるんだよ! だけど、みんな、遥貴遥貴って、誰も俺のことなんか見やしない!!」

突然感情を爆発させた彼に、私は思わず驚くけれど、彼の言葉を、気持ちを、その続きをもっと聞きたいと思った。
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