御曹司と愛されふたり暮らし
そうだったんだ……。
今思うことではないかもしれないけど、私はつい最近まで知らなかった、ハルくんと唯くんの関係を、四葉さんはずっと前から知っていたのだと思うと、ちょっとだけ悔しいと感じてしまった。

すると四葉さんは、声色に少しだけ真剣味を増して、

「だから、留学をするっていう大きな決断を、自分だけでくだしたことは、正直驚いたし、だけど……成長したなと思ったわ」

と答えた。
その口もとには、少しだけ笑みを浮かべていた。


「唯くんは、留学をすることを四葉さんにはあらかじめ話していたんですか?」

さっき唯くんが私たちに留学のことを話した時、四葉さんだけは落ち着いていたから、もしかしたらそうなのかなと思って聞いてみたんだけど。

「はあ? まさか。アイツが私にそんな大事なこと話してくれるわけないじゃない」

と返された。


「このマンションに来る前に、ふたりのご実家に寄って、ふたりのお父様とお母様にもお土産を渡してきたのよ。昔から家族ぐるみの付き合いだから。その時にお母様から、唯が留学の件を遥貴さんに話に出かけた、って聞いたのよ。まさか、マンションの前で本人と遭遇するとは思わなかったけど」

「そうだったんですね。唯くん、あっちでも夢に向かってがんばってくれるといいですね」

「…….人のことより、あなた、自分のことはどうなの?」

「え?」

唯くんの話をしていたはずなのに、急に私のことを聞かれ、私は思わず目を見開く。

四葉さんは、真剣な眼差しで私を見つめていた。
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