御曹司と愛されふたり暮らし
「私は……遥貴さんのことが好き。だから、あなたのことは嫌い」

「は、はい」

「だけど、あなたは遥貴さんが選んだ相手だから……必要以上にあなたを恨んでも仕方ないと思ってる。うまくいかないことを他人のせいにしてたら、昔の唯と同じだもの。それに、私は何度も告白しているから、後悔はないしね」

そう話す四葉さんは、視線も、口調も、とてもハッキリしていて、熱がこもっている。強がりとかではなく、心の底からそう思っているからだろう。そんな彼女を、私はとてもカッコいい女性だと感じた。


そんな彼女が、私に再び問いかける。

「あなたは、自分のことをちゃんと自分で決断して、行動している?」

「え?」

「なんとなく、自分に迷いがあるような顔をしているように見えたから。それこそ、今までの唯のような、ハッキリしなくて曖昧な顔。
まあ、あなたはうまくいかないことを他人のせいにするような性格には見えないけれど、私、ウジウジした人は嫌いなの。もしあなたと遥貴さんが別れるようなことがあれば、その時は遠慮なく遥貴さんといただくつもりだしね」

そう言って、彼女はソファから立ち上がった。


「帰るわ」

「あ、駅まで送ります」

「結構よ」

ピシャリとそう言った彼女は、そのままマンションを後にした。


……四葉さんは帰っていったけれど、私は、今はまだ部屋には戻れない。ハルくんと唯くんが大事な話をしているだろうから。


私はソファに腰かけたまま、四葉さんの言葉を頭の中で何度もリピートする。


……自分で決断して、行動しているか、か……。


そうしているつもりだよ。確かに、今までハルくんに甘えていた部分はたくさんあったけれど、だからこそ、このマンションを出て、アパートに戻ろうとしているんだ。


だけど……。


もしかしたらまだ、伝えていない気持ちが、私の中にあるのかもしれない。
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