御曹司と愛されふたり暮らし
「あ……ごめんね。私、こんな格好で」

タオルを髪から離して、私はそう言うけれど。


「なにが? 全然いいけど。もうこんな時間だしな」

と、彼はやさしく答えてくれる。


遅い時間まで彼のことを起きて待っていると怒られるけど、さっさとお風呂に入って寝る準備万端にするのは怒られない。むしろ、彼にとっては後者の方がうれしいのだろう……。


「ハルくん、お夕飯は?」

私がそう尋ねると、彼は右手に提げたチェック柄の紙袋を私に見せながら。


「今日はさすがにクタクタでさ。作る元気なかったから、弁当買ってきた」

と、笑顔で答えた。


お弁当なんて買わなくても、言ってくれれば私がなにか作っておいたのに……。


彼が私のことを思ってなにもさせてくれないのはわかっているけれど、ここまでなにもさせてもらえないのは、私って一ミリも頼りにされていないのかな、とも思ってしまう。


そんなことを思っていると、彼は私のことをまじまじと見て。


「髪、まだ濡れてるな」


と、言ってくる。


急になんだ? 確かに、たった今お風呂から出たばかりだから、髪はまだ結構濡れているけど……。



すると彼は、驚くべきことを言った。




「来いよ。乾かしてやる」




乾かしてやる?




「いやいやいやいや」


私は慌てて首を横に振る。


たった今仕事から帰ってきて、そのうえ夕ご飯もまだ食べていない人に、髪の毛なんて乾かしてもらうわけにはいかない!
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