御曹司と愛されふたり暮らし
「いいから」

「あっ、ちょ……」

ハルくんは私の右手を引っ張って、リビングに連れていく。


そしてソファに座らせると、「ちょっと待ってろ」と言って一回廊下に出ていき、すぐに戻ってくる。
その右手には、ドライヤーが。


「あ、あのハルくん? そんなことしてもらわなくていいから……!」

私はそう言うも、ハルくんは私の言葉を無視して、ドライヤーのスイッチを入れる。

温風が私の髪を包む。

ハルくんの左手が、私の頭を撫でるように、ドライヤーの熱を絡ませていく。


くすぐったい。


髪を触られて嫌悪感とかがあるわけじゃない。むしろ私のためになにかしようとしてくれるそのやさしい気持ちはうれしいんだ。


でも。

ハルくん、仕事から帰ってきたばかりなのに。
ご飯の支度するのも億劫なくらいに疲れているのに。
そのご飯も、まだ食べてもいないのに。



これがハルくんの言う、「償い」なの?
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