御曹司と愛されふたり暮らし
なんで?なんでハルくんが謝るの?
ハルくんはなにも悪くない。
私が勝手に落ち込んで、勝手に怒っただけだから。


……でも、ハルくんは昔からそうだった。

急に、とある思い出がフラッシュバックする。

あれは、小学五年生の時だったかな。
あの頃は、もうハルくんとはかなり仲が良くて、よくふたりでも遊んでいた。
だけどそんなある日、私がつけていた髪飾りを、ハルくんが『花菜にあんまり似合わない』って言ってきたんだっけ。
今思えば、あのハデな髪飾りは確かに地味な私にはあんまり似合っていなかったし、ハルくんに悪意はなかったと思う。

だけど、私はその髪飾りを気に入っていたから、ハルくんの言葉がすごくショックで泣いてしまった。
きっとあの時も、ハルくんは私がなんであそこまで泣いたか、わからなかっただろう。
……髪飾りが似合っていないと言われたこともショックだったけど、好きな男の子にそう言われたこともショックで、あんなに泣いてしまったんだよね。

だけどあの時も、ハルくんは慌てて私に謝ってくれたんだっけーー……。


私って、昔からなにも変わっていない……。
ハルくんは、昔からずっとやさしいままだけれど。
今の私より、小学生の頃のハルくんの方がよっぽど大人だったんじゃないかとすら思えて、情けなくなってくる。

ハルくんは謝ってくれたけど、今顔を合わすのはやっぱり気まずくて、というか恥ずかしくて。

廊下の外にハルくんの気配がないことを確認してから、私はそっと部屋から出た。
リビングに行くと、ふたりともご飯は食べかけだったけど、ハルくんの姿もなかった。
どこ行ったのかな……?もしかして、怒って出て行っちゃった……?

不安にはなるけど、とりあえずいったん少し頭を冷やそうと、私はリビングからベランダに出てみた。
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