幕末を駆けた桜


久しぶりにこんなに話した気がする…と思いながら、鴨さんから視線を逸らさない。

鴨さんは、少し考え込むように目を閉じてから、数回頷いた。


『……分かった。許可しよう。
お前の願いだしな、真白。

それに、新見も山南と仲良くなりたがっていたしな』




最後は新見さんをからかうように目を細めて口元に笑みを浮かべて言った鴨さんに、新見さんの顔が赤くなる。

図星だったんだな、新見さん。


新見さんを見てニヤける鴨さんを、新見さんが叱りつけている光景から、隣に座る山南さんへ視線を向ける。


『どうですか、山南さん。
ここなら…やっていけそうでしょう』


そう言った僕に、同じように鴨さんたちから視線を外した山南さんは、優しい笑みを浮かべて頷いた。


『まさか、芹沢さんと新見君が、ああやって喧嘩をするなんて思ってもいなかったよ。

前川邸に居れば、絶対に分からないことだったと思うんだ。

ここで、芹沢さんや新見君に色々学んでみようと思うよ、ありがとう…真白』



そう言って、僕の頭に手を置いた山南さんは、そのままぐしゃっと頭を撫で回した。


……えっ?


『山南さん? 僕の頭撫でても楽しく無いと思いますけど』


『うん? そんな事ないよ。

あ、そういえば…土方君に、ありがとうと伝えてくれないかな?』


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