俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「あっ、ここだけちょっと寄ってもいいですか?」
ん?
雑貨屋?
そこは杏の好きそうなキッチン雑貨の店で。
「今日、グラタンしませんか?私グラタンって好きなんです。ほら、この大きなグラタン皿とかどうですか?」
へぇ、グラタンが好きなのか。
えっ?でも食べてんの見たこと無いぞ?
「少し涼しくなってきたんでこれからの季節に良いですよね。待ってたんです!」
あぁ、そう言うこと。
確かに真夏にグラタンもな。
「それに恭一君のお家、ココットサイズしか置いてないし。私はあれじゃ足りません!ほら、これならいっぱい食べれそうですよ?」
嬉しそうにグラタン皿を2つ持つ。
ここでもちゃんと俺の分を当たり前のように手に持ってくれることに堪らない幸せを感じる。
結婚って、こんな感じかもしれない。
何をするにしても一緒なんだ。
それが当たり前って、誇れる特権なんだよな。
「今から作るの面倒じゃない?」
嬉しいけれど、杏が大変じゃないかと少し思う。買って帰って今度作ればいいんじゃないのか?
「大丈夫です!それに買ったものってすぐに使いたくなりません?なので今日はこのお皿でグラタンしましょう」
「ククっ、分かった。ほら、貸せよ買ってくる」
杏の手からグラタン皿を取り上げてレジにに向かって歩き出す。
「わ、私が買います!」
これもいつものこと。
「俺んち置くやつでしょ。それに杏に払わせるわけ無いじゃん。そろそろ学習して」
二人で使うんでしょ?
それに、と声を小さくして杏の耳元に囁いた。
「可愛くありがとうってチュッってしてくれるほうが嬉しいんだけどな」