俺様御曹司による地味子の正しい口説き方 ※SS集
「おひさしぶりです。弥生さん」
すぐさまワンコの顔を作って優しく微笑んだ。
杏と繋いでいた手にきゅっと力が入って、杏の緊張が伝わる。
これって……。
なんかさっき同じデジャヴがあったよな。
うわっ。まじ?やきもち?
いやいやいやいや。
浮かれるな。
杏の手を大丈夫だからと握り返した。
弥生さんは俺たちの繋いだ手にチラリと視線を落としたけど、直ぐに顔に向き合って昔と変わらない笑顔で微笑んだ。
「本当、久しぶり。突然声を掛けてごめんね。気づいた瞬間思わず声をかけちゃった」
「いえ、大丈夫です。久しぶりですもんね」
「やだ。何?その話し方」
「いえ、弥生さんは先輩な訳ですし、僕ももう社会人ですからね。それ相応の話し方くらいできますよ」
「ふふふ。でもプライベートなんだから前みたいに気楽に話して欲しいな」
以前に付き合いがあった事をアピールするような含みのある言い方をする。杏は気付いてなさそうだけど。
それに、杏の事が目に入っていないかのような態度に苛つきを覚える。
あれ?こんな女だったか?
「そう言うわけにはいきませんよ」
さしさわりなく笑みを浮かべながら意図を探る。
「ねぇ、今から時間ない?久しぶりだから少し話したいな」
杏の手がビクリと揺れた。
何言い出すんだよ。